船橋でりなす日本語模様もよう9【新海老川橋】 郷土伝統芸能「ばか面おどり」

  • 2024年05月06日

昔の海岸線と埋立地を結ぶ浜町橋という歩道橋があります

埋立地はかつて「東洋一のレジャーランド」と呼ばれた地域です。現在は、ららぽーとTOKYO-BAYで有名です。

浜町橋の朱色の欄干には祭りの様子のレリーフがあります。

「祭」の文字の大うちわ、神輿(みこし)が描写され、お面をかぶった人々が踊っています。

この橋のすぐ近く、京葉道路の高架下には、その昔、のり養殖の「ベカ舟」や貝まき漁の「大捲(ま)き舟」が展示されています。漁師町の活況を今に残そうとの趣旨でしょう。

ゴールデンウィークになると、こいのぼりが風に揺れ、季節の風物詩が行く人の心を和(なご)ませてくれます。

道路を挟んだ壁に、祭り装束(しょうぞく)をまとった人の写真が飾られています。船橋の郷土伝統芸能「ばか面(めん)おどり」の姿です。

お面には「おこり」「わらい」「おかめ」「ひょっとこ」があります。

ばか面おどりは、ふなばし市民まつりの圧巻であるパレードで披露されます。

年に一度の盛大な市民行事です。しかし、コロナ禍で中止が続き、2023年10月、4年ぶりに開催されました。

ばか面おどりは明治時代、疫病、海難事故、不漁が重なった漁師町の人々が邪気を払おうと、神輿を船橋大神宮・八剱(やつるぎ)神社へ奉納し、面をかぶって踊ったことが始まりだそうです。事の起こりは1900年ごろに遡(さかのぼ)るとのことです。

火男がなまって「ひょっとこ」?

ばか面おどりにもある「ひょっとこ」は、口をすぼめた面白い顔の男の面です。

欄干の上には、ひょっとこ面やおかめ面の踊り姿やマーチングスタイルの子どもたちの像が並んでいます。

「祭りのチカラは日本のチカラ」と強調するのは、年刊誌『日本の祭り』を発行するNPO(特定非営利活動法人)日本の祭りネットワークです。

2021年1月20日発行の同誌では東日本大震災から10年を特集し、祭りが心の復興に果たす役目などを訴えました。また、コロナ禍における祭りの実態にも迫っていました。

「はじめに」で次のように述べています。

失望のどん底からはい上がるチカラをもたらすのも祭り。知らない人どうしが助けあい、結ばれるのも祭り。心を浄化するのも祭り。故郷を思いだすのも祭り。

全国の若手神職の皆さんが「日本祭興」のスローガンを掲げて立ち上がりました。「祭りのチカラは日本のチカラ」なのです。

『日本の祭り』(NPO(特定非営利活動法人)日本の祭りネットワーク)

祭りが盛んな国は何も日本だけではありません。

BTS言語学院にはネパールからの多くの留学生が在籍していますが、ネパールも祭りでにぎわう国です。

何しろ「人間の数より神々の数のほうが多い。」とも言われるネパールです。公立の学校が1カ月も休校になるほどの盛況ぶりだそうです。

ネパールは2023年11月3日、大地震に見舞われました。

災害から立ち上がる勇気を地域の祭りの力から得たという人は、世界で数知れないことでしょう。